第66回NHK杯決勝(佐藤康光九段vs佐藤和俊六段)の感想 - 将棋のブログ

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第66回NHK杯決勝(佐藤康光九段vs佐藤和俊六段)の感想

3月26日に放送された第66回NHK杯決勝(佐藤康光九段vs佐藤和俊六段)は、105手で佐藤康光九段が勝ちました。

勝った佐藤康光九段は第57回大会(2007年度)以来の3度目の優勝。


棋譜は下記の公式サイトでご覧下さい。(月曜日に更新されます)

NHK杯テレビ将棋トーナメント


<感想>
出だしは後手の和俊六段がノーマル三間飛車で、康光九段が居飛車。

康光九段が引き角から19手目で▲2四歩と仕掛け、以下△同歩▲同角と進み、和俊六段は△2二飛と振り飛車の手筋の一手を繰り出すのですが、ここで康光九段の一手は自重する▲2五歩ではなく、いけいけドンドンの▲3三角成!

確かに後手の4三の銀が浮き駒で、部分的には次の一手問題などで、銀を取れる分、▲2五歩よりも▲3三角成の方が遥かに優れて正解手のように書かれているのですが、プロがその変化をたったの19手の局面で見落とすはずがなく、「これは一体どうなるのだろう?」とワクワクさせる序盤早々傑作な展開。

手元の激指によれば定跡局面、しかし、定跡をオフにするとすでに先手有利の判定。

本局の序盤は、康光九段による見たことない不思議な一手は出ませんでしたが、代わりに定跡に疑問を投げかけたかのようなスゴイ一手が出てました。

そしてその数手後には、まだ完成してない後手の片美濃の8二の空間に、27手▲8二銀が打ち込まれ、和俊六段の後手玉は早くもデンジャラスな状況。

しかし、康光九段の先手陣も決して安定した形ではなく、43手目あたりにさしかかった時、いつの間にやら後手も悪くはなさそうな雰囲気。

おそらくは、次の和俊六段の44手△2三金で、勝負の流れが再び康光九段に傾いた模様。感想戦でもそこを重点的にやっていましたが、どうやら本譜の△2三金に代えて△2三歩なら、解説の羽生三冠も唸っていたほど難しい局面になっていたようです。(もちろん、普通のアマは2三の地点に何かを打つことすら、たぶん思いつかない)

以降、康光九段に傾いた流れが変わることはなく、最後は和俊六段の92手△8七角成から詰むや詰まざるやの緊迫した時間が続きましたが、どうやらそこに詰みはなく、康光九段が正確に玉を逃がしてNHK杯3度目の優勝。

序盤からいきなり終盤に突入し、緊迫した局面が続く、観戦する側にはとてもおもしろい一局でした。

振り飛車の和俊六段、本当に惜しかったです。和俊六段のおかげで、今期は最後まで振り飛車を観戦することが出来ました。とても楽しかったです。

そして若手の躍進が目立ち、羽生世代が準々決勝よりも前に負けていく中、ただ一人、ベスト8に残り、優勝まで勝ち進んだ康光九段、素晴らしい優勝でした。

さて、第66回大会は終わりましたが、第67回大会の予選は既に始まっています。

第67回大会ではどのようなドラマが待ち受けているのか、超新星が出てくるのか。

第67回大会も、全局、全将棋ファン必見です。


<コンピュータの形勢判断>
第66回NHK杯決勝 形勢評価グラフ
※青色は激指14七段+、赤色はGPS将棋
※コンピュータの判断が正しいわけではありません。



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コメント
非公開コメント

No title

序盤から次の一手の様な△3三角成が、まさかNHK杯戦に現れるとは意外でした!

和俊六段はどう考えていたのでしょうか。プロなりの考えがあったのでしょうが、この手順は避けた方が良かった様な気がします。もちろんアマチュア的には、飛車2枚の攻めも強力にみえるので後手も手数が延びればという感覚も確かにあります。

康光九段の▲8二銀も効きましたね。

すぐに来期戦が始まります。羽生世代がやや押され気味になるのか否か。早指し派、若手とタイトル保持者や上位陣との対決が楽しみです。

2017-03-29 01:22 │ from 大山十五.三世

Re:

序盤から見応えのある将棋でしたよね。

ところで、飛車二枚の攻めで手数が伸びれば、というくだりは理に適っていて感銘を受けました。

来期は藤井四段も登場しますし、どの層が活躍するのか、とても楽しみですよね。

2017-03-29 10:18 │ from 阪田

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