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第67回NHK杯(斎藤七段vs佐々木四段)の感想

9月24日に行われた第67回NHK杯2回戦(斎藤慎太郎七段vs佐々木大地四段)は、143手で斎藤慎太郎七段が勝ちました。

棋譜は下記の公式サイトでご覧下さい。(月曜日に更新されます)

NHK杯テレビ将棋トーナメント


<感想>
両者が相手を「勢いのある」と称え合う本局。

佐々木四段はC2に参入した今年度も勝率7割台で、魂の七番勝負に選ばれていることが示すように注目されている若手棋士の一人。

斎藤六段の活躍は語るまでもなく、2012年のC2一期抜けから順調にスピード昇級、B1に上がった今年度は棋聖戦五番勝負に挑戦。西の王子の異名に相応しい活躍。2015年の電王戦でAperyに勝利したことも有名。

さて、本局は横歩取りとなり、先手の斎藤七段が17手▲6八玉の勇気流。両者ともに居飛車党ですが、居飛車の中でも佐々木四段が得意としているのが横歩取りとのこと。

最初に勝負所と見て少考したのは佐々木四段。40手△2七歩で4回の考慮時間を使っていました。その一手は解説の阿久津八段も「難しい手」と評していたひねった一手。

中盤のやりとりで、どうやらペースを握ったのは斎藤七段。佐々木四段が50手△3六飛を指すまでに3回の考慮時間を使っていたのですが、前述の40手△2七歩の時とは違い、その時間の使い方は困っている感じではないかと解説の阿久津八段。

以降、大盤解説はずっと斎藤七段ペースで進んでいるような雰囲気になっていたと思います。

駒得を拡大していく斎藤七段。相手玉に厳しく迫る佐々木四段。寄せ切れるのか、凌ぎきるのか、横歩取りらしい激しい駒の流れ。

斎藤七段が9回目の考慮時間を使って指した63手▲8一角打がおもしろい一手。遠い後手の3六の飛に狙いを付けた不思議な筋違い角。

その時はその後の形勢が大きく動くこともなく、その角も盤上から消えました。

そして再び、佐々木四段が猛攻を開始。今度は細い攻めで切れそうに見えながらも、不思議とつながっていく快心譜が出そうなパターン。

しかし、斎藤七段の受けと読みは正確でした。佐々木四段の118手△5四龍、「いい手」と解説されていた冷静な龍引き。

直後に斎藤七段が指したのは、好位置に付けたその龍に狙いを定めた119手▲8一角打。

実はその本局2度目の筋違い角こそ、コンピュータは決め手と分析しています。

対局中、秒読みギリギリで4一に角を置いた斎藤七段は、大盤解説でも言われていたように「焦った感じ」に見えましたが、今思うと、あのシーンこそがプロが直感と読みを限界まで駆使した、勝負師の際のキワだったのだろうと、なんだかとても感動します。

先手の斎藤七段が飛車を持つと、スカスカの後手陣は一気に危ない状況となり、斎藤七段の先手陣も相当危ない形でしたが、そこでも斎藤七段は凌ぐべき時に凌ぎ、攻めるべき時に攻め、最後は、佐々木四段の後手玉を詰将棋解答選手権で優勝した実績もあるその力量で正確に捕まえて対局終了。

本局は有望な精鋭棋士二人による、横歩取りらしい、激しい攻防が見られた、素晴らしい一局だったと思います。


<コンピュータの形勢判断>
第67回NHK杯2回戦第8局 形勢評価グラフ
※青色は激指定跡道場4七段+、赤色はelmo
※コンピュータの判断が正しいわけではありません。

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コメント
非公開コメント

No title

いつも配信ありがとうございます。
先週の対局でちょっと遅くなって済みません。

横歩取り勇気流はプロ間の流行りの様ですね。先手が守勢に廻らずに攻め合いに持ち込むのが狙いだとか。

先手の2度の!!▲8一角が変わった筋ですが良い手だったのですね。
その後の▲6六角と打ったのも攻防に効いていました。

後手の112手目、△4九馬と金を取った手ですが、ここはソフトはどう指すのでしょうか。
気になったのは、△4九竜と竜の方で取る手もありそうなところですが・・・。
(ご面倒でしたら、スルーして下さって結構です)以上。

2017-09-30 19:25 │ from 大山十五.三世

Re:

111手の局面での激指定跡道場4Pro+の判断は下のようになっています。

最善手 → △4九角成・・・評価値+415(先手有利)
次善手 → △8五歩・・・評価値+602(先手有利)以下▲同銀△8四歩


△4九龍は評価値+2009(先手勝勢)で、以下▲同飛△同角成と進めると、次の▲7一飛が▲4一角からの詰めろ(11手詰)になっているとのことです。

2017-10-01 22:43 │ from 阪田

No title

後手は飛車を渡せないのでしたか。

△4九龍以下▲同飛△同角成▲7一飛で後手玉は詰めろとのこと。

ここで後手は飛車と金を持っていても、先手玉に詰みはなさそうですね。

面倒な質問にご回答下さり、真にありがとうございました。

2017-10-02 23:32 │ from 大山十五.三世

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