第68回NHK杯(及川六段vs加藤女王)の感想 - 将棋のブログ

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第68回NHK杯(及川六段vs加藤女王)の感想

5月13日に第68回NHK杯1回戦(及川拓馬六段vs加藤桃子女王)が放送されました。

棋譜は下記の公式サイトでご覧ください。(※毎週月曜日に更新されています)

NHK杯テレビ将棋トーナメント


<感想>
出場棋士中、唯一の女性が登場する注目の一局。

ここまで、女性のNHK杯における通算成績は3勝26敗で、勝利しているのは全て中井女流。

女性の最後の勝利は第54回大会。その時は中井女流が2回戦でタイトルホルダーだった佐藤九段にも善戦していて、敗れはしたものの話題になりました。

さて、本局は及川六段の先手で、後手の加藤女王が雁木。今風の相居飛車。

先に仕掛けたのは及川六段ですが(25手▲3五歩)、加藤女王も36手△5五歩のタダ捨てからトリッキーな順で反撃。

形勢は永瀬七段の解説によると、
54手の局面 → 及川六段がリード
56手の局面 → 互角か加藤女王が指せているかも
60手の局面 → 加藤女王が少し良いか、とても良い状態
と揺れてました。

ところで、何故この対局の解説が永瀬七段なのだろうと思ったのですが、加藤女王と同じ安恵照剛八段門下で、たぶんその関係でしょうか。

本局では永瀬七段の形勢判断も興味深く、65手▲4七歩打の局面を「加藤女王が大優勢・勝勢」と解説していたのですが、コンピュータ将棋の評価値は加藤女王側に100程度。

私は現在、大内先生の本を読んでいるのですが、大内先生もコンピュータの評価値では100程度の局面を「優勢」「勝勢」と表現されていたりします。(指しやすそうな気がしても、そこからこちらの感覚で優勢にするのさえ難しい局面)

自分がその局面ならほとんど勝てるといった、最強クラスの棋士にならないとわからない、独特の感性があるのだろうか等と、わかりもしないことに想像を張り巡らせた次第。

さて、加藤女王優勢の時間がしばらく続いていたのですが、対局の方は指し手が進むにしたがって、次第に及川六段の自陣角の利きが敵陣にとどき始め、加藤女王の居玉が如何にも危険な状況で、及川六段の追い上げムードへと変わって行きました。

98手で加藤女王が△5五金と角にあて、取れば要の飛車を抜く大技を放つのですが、及川六段が冷静に▲7五角(99手)と交わした手が詰めろで、加藤女王がその詰めろを△5三角(100手)と受けた局面は、永瀬七段の形勢判断では及川六段勝勢。

103手では「居玉は避けよ」を教えるかのような▲5九歩打の絶妙手が出て(△同龍と取れば、▲1五角の王手龍取り)、確かに及川六段勝勢にしか見えませんでした。

両者とも、相手玉を龍で横から攻めているのですが、加藤女王は歩以外の持ち駒が一枚で、パッと見は足りない感じ。

それでも加藤女王は果敢に攻めて、112手△5九龍と、相手玉のそばに龍を寄せて詰めろで勝負!

その時は、後手玉をどうやって寄せるのかはわからずとも、大盤解説の雰囲気などから「及川六段の勝ち」と思っていました。

次の及川六段の113手▲5二成銀の王手に対する、加藤女王の玉の逃げ場所114手△3一玉も如何にも危険に見える場所。こちらの心境はますます及川六段の勝ち。

ところが、そこからの寄せが非常に難しいらしく、及川六段が115手▲7九銀打と自陣に手を戻すと、解説の永瀬七段が小声で「あれ?これは・・」と何かに気付いた様子。

加藤女王の次の一手(116手)は△6八金打の王手。及川六段の先手玉が即詰みになっていたという劇的な幕切れでした。

女性がNHK杯戦で14年ぶりに勝利。加藤女王は三度目の出場で遂に勝利!加藤女王の素晴らしい頑張りが、勝利を呼び込んだのだと思います。2回戦も楽しみです。


<コンピュータの形勢判断>
第68回NHK杯1回戦第7局 形勢評価グラフ
※青色は激指定跡道場4、赤色は平成将棋合戦ぽんぽこ
※コンピュータの判断が正しいわけではありません。



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コメント
非公開コメント

No title

久々に女流棋士が勝利する場面が現れて及川六段には申し訳ないけど嬉しい気分になりました。
及川六段は奥様が今回の女流枠をかけて決定戦にも挑まれていたから2重にプレッシャーになっていたのかもなぁ?なんて思いました。
加藤女王には次局も力を出し切って頑張っていただきたいと応援しています。

2018-05-14 06:33 │ from 通りすがりの名無しっち

No title

コメントを入力ください

2018-05-14 18:16 │ from -

No title

いつも更新お疲れ様です。

本局のコンピュータの形勢判断では、終盤は先手勝勢になってます。先手に勝ち筋があったのかも知れません。最後、及川六段が自玉の詰み筋を交わしていれば、まだ分からなかったのでしょう。確か永瀬七段も▲9六角の筋があると言っていた様でした。詰め将棋の名手らしからぬ見落としだったのでしょうか。

加藤女王はよく粘りました。やはり諦めずに指し続けることは大事ですね。この数年のNHK杯戦で実力を出せていない様にみえます。一回戦突破したので次は強敵でしょうが、リラックスして本来の力を発揮して欲しいです。

2018-05-14 23:54 │ from 大山十五.3世

返信

通りすがりの名無しっちさんへ

やっぱり、通常の対局とは別の心境があったと思いますよね。

私も加藤女王の次の対局がとても楽しみです。


大山十五.3世さんへ

114手の局面はかなり際どいことになっていたので、やっぱりプロでも焦ったのでしょうね。

コンピュータは永瀬七段が解説していた▲8六歩と逃げ道を作るのが最善で、次善手も永瀬七段が解説していた▲6四角打△2二玉▲5五角と金を抜く手を挙げています。

次局はさらに注目の一局になりそうですね。

2018-05-15 00:32 │ from 阪田

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