コンピュータ将棋の評価値について思うこと - 将棋のブログ

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コンピュータ将棋の評価値について思うこと

人間対ロボット

コンピュータの評価値は、将棋観戦の際にはとても有意義なものだと思います。

コンピュータの評価値があれば、初心者でも瞬時にプロ将棋の形勢を知ることが出来ます。

ところで、その評価値の見方について、「優勢」の基準値がズレてきています。

具体的には、評価値「1000」で勝負が決まっているほどの大優勢というのが主流になっていますが、その局面でニコ生解説の棋士が困惑しているシーンを頻繁に見かけます。


「1000」という数字が何故キーナンバーになっているのかというと、もともとはコンピュータ開発者の方が、評価値「1000」になるとコンピュータ同士の対戦では逆転が極めて難しい旨を話したことに起因します。

その言葉は確かボンクラーズの頃(2010年~2011年頃)の言葉だったと記憶しています。(※記憶は不確か)

そもそも、コンピュータの評価値というのはプログラムによって基準が違うため一律ではありません。

例えば「角」一枚を500点としているプログラムがあれば、1000点としているプログラムもあります。

そのため、あるコンピュータが評価値1000としている局面を、別のコンピュータは評価値2000としていたりします。

単純に数値が倍になっているわけではなく、それぞれのプログラムが局面を判断するための独自の計算式を持っていて、それゆえにそこからはじき出される数字はバラバラなのです。

前述のボンクラーズも使っていた「Bonanza6」が評価値1000を示した時、その局面はプロが見てもどちらかが優勢に見えるケースが多かったのだろうと思います。

少なくとも、今に至るまで「評価値1000=優勢」が定着しています。

しかし、最近のコンピュータ将棋は大きめの評価値を付ける傾向があり、「Bonanza6」が評価値1000を付ける局面を今のコンピュータは2000、3000の評価値を付けていたりします。

Ponanzaの評価値がニコ生に表示されるようになった頃から、評価値1000以上が表示された瞬間に「あああああ」といったチャットの洪水が起こるたびに、違和感を感じていました。(すっごい、楽しいんですけどね・笑)

今の超絶強過ぎる正確無比のコンピュータにとっては、今の評価値「1000」は大優勢で間違いないのだろうと思います。

しかし、今の評価値「1000」は、プロの形勢判断でさえ優勢に見えていないことが多く、「評価値1000=優勢」をそのまま人間心理に重ねることは、随分と乖離しているようです。

さて、ここまで読んで何を言っているのかわからない方も、下の図を見れば明快でしょう。

昨日の「藤井七段vs中村六段」の形勢評価グラフです。

BONANZAとぽんぽこ

青はぽんぽこ(2017年)、赤はBONANZA6(2011年)です。

BONANZA6が評価値1000を超えた局面はありませんでした。

ニコ生解説の佐々木六段が投了直後に驚いていた理由が、なんとなくわかります。

私はぽんぽこの評価値だと、2000くらいで優勢なのだろうと思いながら観戦しています。


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コメント
非公開コメント

No title

コンピュータ将棋協会 (CSA)規定のTCP/IPプロトコルに従ったネット対局用サーバ(shogi-server, 電王トーナメントでも使用)の仕様の中の "評価値と読筋を記録する拡張"で運用上の決め毎として 「評価値は、先手有利をプラス、後手有利をマイナスとする。また歩一枚の価値を100点とする。」とあります。(ttp://shogi-server.osdn.jp/protocol.html#extended-commands)
なのでプログラム内部ではどんな点数で計算していたとしても、外部へ渡すときには歩1枚を100点になるようにスケールしていると聞いたことがあります(もちろん歩以外の駒の価値は歩の何倍かは全く自由ですが)
なので基本的には歩一枚の価値は常に100点です

2018-06-02 10:48 │ from 匿名希望

No title

基本的に歩の価値は100で統一されていると思います。200というのは一歩得(歩の数が10対8で200になる)の話ではないでしょうか?

ただ、記事の主旨自体は凄く分かります。

多くの人が第2回電王戦などをやっていた頃の評価値の基準(300で有利、600ぐらいで優勢、1000で大優勢のような)で考えている気がします。

今のソフトは30手以上先の局面をかなり正確に読んだ上で評価値を出していますが、人間はそこまで出来ないので「1000」でも有利ぐらいと思った方がいい気がしますね。

また、評価値はソフトの最善の手順を積み重ねた結果なので、2000でも3000でも人間には難解な事はいくらでもあります。そもそも評価値は解説用に作られたものではないので、そろそろ解説用に局面の複雑性などを考慮した別の指標が欲しいですね。

2018-06-02 11:07 │ from -

上記コメントをされた方々へ

「歩」一枚の価値はPonanza2016が93点で、BONANZA6が87点と聞いたことがあったので、100点に統一されているというのは知りませんでした。非常に詳しいですね。「角」に書き換えました。教えて頂き、ありがとうございます。

2018-06-02 11:26 │ from 阪田

No title

> コンピュータの評価値というのはプログラムによって基準が違う
「基準が違う」との記載は違うかと思います。
「匿名希望」さんが書かれているように、歩1枚が100点との基準はほぼすべてのソフトで同じです。ソフトによって違うのは、同じ基準で考えていても同じ局面を有利と見たり不利と見たりしている部分です。これは基準の違いというより、考え方の違いといった方が良いと思います。
今のソフトが以前のソフトより数値が大きく出るようになったのは、今のソフトがより精緻に局面判断をできるようになったからと思います。(評価値=その局面から指し継いだ時に勝つ確率の大きさを示す数と見て良い)

もっとも記事の趣旨はおおむね同意します。
ソフトの精緻な判断結果を人間同士の対局では大きすぎると感じるのは、例えば1000の差でも逆転確率が今のソフト同士より人間同士でははるかに高いからと思います。ただ、「正確無比に指せば勝つ確率がかなり高い局面」であることには変わりないので「優勢」はやはり一応優勢ではないでしょうかね。

2018-06-02 13:16 │ from -

上の方が書いている通り、点数の基準は今も昔も同じです。変わったのは局面の評価です。
最新のソフトはBonanzaやプロ棋士より正確に局面を評価しているってこと。

2018-06-02 13:47 │ from -

たぬきの評価値見ると他より1.5倍くらい高い気がする

2018-06-02 14:31 │ from -

面白い内容でした。評価値を確認しながら観戦するか否かは未だに葛藤してます。

2018-06-02 14:49 │ from hanyuIC

同じ思いです。

コメントを入力ください
最近はかみがかったコンピュータの強さが強調され、盲信が起こっているような気がします。
ニコ生にコンピュータ将棋に詳しい千田先生のような方が出て解説いただくことを期待します。
早く勝つ手と、確実に勝つ手は違うはずだし、後者の方が大多数のアマチュアには勉強になるはずだと思います。

2018-06-02 20:53 │ from 静岡県民

返信

2018-06-02 13:16と2018-06-02 13:47のコメントへの返信

基準は歩の点数だけでなく、局面を評価する際にも基準があるはずなのですが、まあ、どうでもいいです。一生懸命、否定されている部分は、私にとっても、上の記事を読む際も、本当にどうでもいいことなのです。


2018-06-02 14:31のコメントへの返信

確かに最近特に、棋士の評価値に対する驚きのリアクションが目立っている気がしますね。


hanyuICさんへ

嬉しいコメントをありがとうございます。評価値を見ながら観戦するのはおもしろいですよ。


静岡県民さんへ

評価値が大きく下がると、悪手を指したように見られているのが気になりますよね。コンピュータは完全に読み切ってないと大逆転されてしまう順を最善手とするケースが多いですもんね。

2018-06-03 00:18 │ from 阪田

最近はネット中継があってもプロの中途半端な解説は聞く気にならず、音声はミュートして、コンピュータに解析させながら見るのがデフォですね。確かに最終盤は多少危なっかしい手を勧めてくることもありますが、中盤の入り口あたりからの手は、叡王戦の実績からしても分かる通りプロを圧倒しています。
ただ、我々アマチュアからすると、正解がわかっても、「なぜ」その手なのかが分からない。
これからのプロの役割は、COMの手を如何に素人にも分かるよう言語化するってことかなの思う(まだまだ少ないけど)。

2018-06-04 10:58 │ from -

Re:2018-06-04 10:58のコメント

とても斬新なコメントです。プロさえ理解できない指し手の意味を、知りたい理由がわかりませんでしたけど。

プロ対局におけるプロの解説の魅力は、対局者の指し手に対するその時の心境とその意味を、同じプロが最も忠実に近い形で言語化出来ることだと思っています。

2018-06-04 13:36 │ from 阪田

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