第77期順位戦A級(羽生竜王vs深浦九段)の感想 - 将棋のブログ

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第77期順位戦A級(羽生竜王vs深浦九段)の感想

8月8日に行われた第77期順位戦A級2回戦(羽生善治竜王vs深浦康市九段)は、142手で羽生善治竜王が勝利しました。2回戦終了時点で、羽生竜王は1勝1敗、深浦九段は0勝2敗。

リーグ表:第77期名人戦・順位戦 A級(日本将棋連盟)


<感想>
本局はAbemaTVで中継されました。(解説は戸辺七段ほか)

戦型は深浦九段が先手で現代風の相掛かり。

中盤までは(21時頃)羽生竜王の方が指せているのではないかと言われていました。

あやしい雰囲気になりだしたのは羽生竜王が70手△4九飛と、いよいよ飛車を相手陣に打ち下ろした頃から。

その手自体は大盤でも自然な手として解説されていましたが、そこから深浦九段の反撃が始まると、悪手と思しき手もないまま羽生竜王の後手玉は見るからに危険な状況へと変わって行きました。

チャット欄では先手有利から先手優勢、そして先手勝勢へとコンピュータの評価値が変わっていることを告げる人達。落胆した気持ちを様々な言葉で表現する羽生ファン。

盤上では羽生竜王の後手玉が王手を絡めながら寄せられていて、一方で深浦九段の先手玉は「札束囲い」「ゴールデンゲート」などとチャット欄で評されていた、見るからに頑丈そうな囲いで二手スキにもなっていない状況。

しかし、113手でそれまでの流れが微弱に動きました。大盤で推奨されていたのは▲3三歩打。深浦九段が秒読みに追われて慌てて指したのは一マス上の▲3四歩打。時間切れギリギリで駒を放り投げるように置いていたので、間違えて置いたのかと思いました。

それでもその一手が厳しい一手であることには変わりなく、依然として局面は誰の目にも、コンピュータの目にも深浦九段の必勝形。

119手では深浦九段が▲6四角と唯一の大駒の角を切り、いよいよ寄せの仕上げの段階に入り、続く121手▲7五桂打と詰めろを掛けると、羽生竜王の122手△8一角打は唯一の凌ぎながらも、自陣角で凌いでいる様が如何にも苦しそう。

以下▲8三歩成△4七と▲7二とと進み、後手受けなしとなったのですが、手順中の124手△4七と、その一手こそがリアルタイムで観ていた全視聴者を感動の世界に導いたミラクルの始まりでした。

125手▲7二との局面は後手玉が受けなしなので、先手玉を詰ますしかないのですが、その状況になって初めて大盤の高野四段と戸辺七段も実は先手玉が長手数ながらも詰んでいるのではないかという話になり、大盤は次第に驚愕の雰囲気に。

将棋ソフト(東大将棋6)によると、先手玉はなんと37手詰。長手数なのでコンピュータも気付いてなかったはずです。(追記 脊尾詰によると25手詰)

大盤でどうやら詰みそうだと示された手順。その手順を指すのかどうか、ドキドキしながら観戦する全視聴者。その手順通りに指し進めていく羽生竜王。あまりの凄さに言葉を失っていった解説の先生方。そして、落胆の声の全てが称賛の声に変わっていったチャット欄。

盤上にはまるで、将棋の神様が舞い降りていたかのようでした。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、あの大逆転は今までに見たこともないくらい物凄かったです。

羽生竜王が136手△8八銀打と指した時、その手は震えていました。

結局、142手で羽生竜王が大逆転勝ち。今年度、私が観戦した中では、1、2を争う屈指の名局でした。

やっぱり、羽生竜王が最強だと、そう思わせる一局で、興奮冷めやらぬうちに書き綴った次第。


<コンピュータの形勢判断>
第77期順位戦 羽生竜王vs深浦九段 形勢評価グラフ
※青色は激指定跡道場4七段+、赤色はぽんぽこ
※コンピュータの判断が正しいわけではありません。


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